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認定こども園の認定条例に関する要求書
2006年 10月 19日

神奈川県知事
松沢 成文 様
日本共産党県会議員団
団長 河野 幸司




 若者の就職難と非正規雇用の増大による低賃金、長時間労働も大きく影響し、今、子どもを生み育てる条件が悪化する中、父母が共働きしないと生活できない世帯が増加し、少子化の中でも、首都圏を中心に保育所不足は、深刻な実態になっています。政府として、若者の雇用の拡大と賃金労働条件の改善、保育所の増設等の子育て支援策の抜本的な拡充が望まれています。しかし、政府は、保育所の増設と保育条件の改善で待機児童の解消を図るのではなく、保育所の定員外入所の拡大と設置基準の緩和による民間企業開放によってその解決策を求めると共に、応能負担と市町村の責任による保育を保障する制度を、幼保一元化の名の下に、なし崩しにするための策動を強めてきました。
 認定こども園は、2003年に閣議決定された「幼保総合施設」をもとに、モデル事業が実施され、この事業の評価委員会の最終報告をうけて、直ちに文科省を中心に法案を作成し「就学前の子どもに関する教育・保育などの総合的な提供の推進に関する法律(認定こども園法)」として164国会に提出されました。そして、保育に関わる制度でありながら、文科・厚労の合同委員会の審査もせずに、文部科学委員会のみの審議で、本会議で採決し、成立させた経緯があり、十分に審議がされていないという問題をもつものです。
 更に、この法律では、幼稚園型の認定こども園には、保育に欠ける子どもの入園枠の確保義務もなく、保育料も自由設定で、市町村が関与できないこと。また、現在、待機児童解消のために定員以上の保育に欠ける子を受け止めている保育所が、この認定こども園になった場合、定員枠に保育に欠けない子の入園枠を定めて、保育に欠ける子の入園を断ることができ、利用料も自治体の保育料とは別に設定し、入所児童の選考も事業者に任せられるなど、経済的な条件に左右されず保育欠ける子に保育を保障する制度になっていないという制度的な問題をもっています。認定こども園が保育に欠ける子の受け皿となるためには、保育の実施者である市町村が認定子ども園への入園、利用料設定、保育の質に至るまで、十分に関与出来る規定を条例に明記することが必要です。
 国は、国の示す基準を上回る条例をつくることも可能であるとしています。しかし、県の基準案では、保育に欠ける子の保育を保障する為に、市町村が関与できる条項が明記されていない為、保育の実施主体である市町村の責任が曖昧になっていると共に、3才以上の幼児の保育教育条件の改善にもつながるものになっていません。また、子育て支援機能に関する設備と人員基準も示されないというものになっており、これでは子育て支援と保育水準の向上には、つながらないと言わざるを得ません。日本共産党県会議員団は、保育所待機児童の解消は、あくまでも、保育所の増設が基本であると考えますが、認定こども園の条例策定にあたっては、神奈川の子育て支援と保育水準の向上につながるものにすべきと考え、以下を条例に盛り込むよう強く要望するものです。




T 認定子ども園の認定条例を策定するに当たっては、県民及び保育・教育関係団体も入った検討会を設けると共に、県民や関係団体の意見を充分反映させた条例となるようにすること。

U条例内容に以下の条項を明記すること。
1 認定こども園の目的・基本理念として以下の内容を明記すること。
 @ 目的は「こどもの遊び、休息、発達、教育、保育等の諸権利と乳幼児期の個々の子どもの状況に合わせた子どもの最善の利益を総合的に保障することを目的とした施設」とすること。
 A 基本理念として乳幼児期の保育の欠ける子どもに対しても最善をつくして保育を保障することを明記すること。
 B 多様な子育て支援施設や専門職、関係団体等との連携し、保護者の意見が十分反映できる運営を基本とすることを明記すること。

2 利用対象児童は、ゼロ才から就学前までの希望するすべての乳幼児とし、障害の有無や所得状況によって排除してはならないことを明記すること。また、障害児等特別の支援が必要な乳幼児については、専門機関と連携し必要な対応をとらなければならないことも明記すること。

3 認定こども園の定員設定、及び、入園手続きについては、保育に欠ける子が排除されないよう以下の様にすること。
 @ 私立認定保育所における、保育に欠ける子及び保育に欠けない子の定員枠の設定にあたっては、市町村との協議を義務づけること。
 A 待機児童がいる地域においては、幼稚園型の認定こども園の保育所機能について、保育に欠けない子を受け入れることを努力義務とし、保育に欠ける子の保育料は、所得に応じた設定とすることを努力義務とすること。
 B 認定こども園に保育に欠ける子どもの利用申請があったときは、申請書類及び添付書類について、個人情報保護条例に基づき、認定こども園として書類の開封及び点検をしてはならないことを明記し、速やかに市町村に届け出ることを義務づけること。
 C 届け出を受けた市町村は、児童福祉法第24条に基づく保育要件を可否を認定し、速やかに認定こども園に通知すると共に、保育要件を満たしている子どもについては、市町村として委託契約を結ぶこと。
 D 保育に欠ける子どもについて、認定こども園が市町村との委託契約を拒否する場合は、認定の取り消しをおこなうことができることを明記すること。
 E 市町村は、認定こども園の定員以上の申し込みがあった場合の選考基準を定めることができることを明記し、認定こども園に定員を超えて申し込みがあった場合は、市町村が定める認定基準に基づいて選考し、その選考結果の市町村への報告義務を課すこと。

 

4 認定こども園の設置主体については、以下の条件をすべて満たしたものとすること
 @ 認定こども園のその社会的役割を果たし、公共性、継続性、安定性が担保されるよう、設置主体については、市町村、学校法人、社会福祉法人、NPO法人等の非営利団体に限定すること。
 A 認定にあたっては、確実な施設の一体的運営体制を確保することに、認定対象施設は、認可施設の同一敷地内にあることを条件とし、「認可幼稚園と認可保育園」を基本とすること。

5 市町村が保育の実施義務と次世代育成の行動計画の策定と実施責任があることから、認定こども園の認可手続きにおいて、県は、市町村の意向の尊重した協議をすることを義務づける規定を設けること。

6 保育実施義務と保育に欠ける児童の運営費の負担義務を市町村が負うことから、認定こども園の指導・監督に関しては、市町村との共同の所管事務とすること。また、指導・監査結果については、公表すること。

7 施設設備条件ついては以下のようにすること。
 @ 2才未満児の乳児室及びほふく室はそれぞれ確保し、併せて乳児一人に付き5u以上とすること。
 A 2歳児の保育室は、一人あたり3.3u以上であること。
 B 3才児以上については、学級として幼稚園の基準を満たしていること。
 C 調理室及び食堂を設置すること。
 D 遊戯室を設置していることと共に、運動場を同一敷地内に設置し、幼稚園基準の面積を有すること。
 E その他、保健室、職員室、便所、飲料用水施設、手洗い設備、足洗設備、図書室、子育て支援室、子育て相談室を有していること。

8 職員の資格については、以下のようにすること。
 @ 園長は、保育士資格又は幼稚園教諭免許を有し10年以上の実務経験を有すること。
 A 保育職員は、0才から3才及び3才以上の長時間利用幼児については、保育士資格
 とすること。3才以上の短時間利用については、保育士又は幼稚園教諭免許を有する こと。

9 職員の配置基準は以下のようにすること。
 @ 職員の配置職種は園長、保育士又は幼稚園教諭、栄養士、調理師、嘱託医、看護師又は養護教諭、事務職員、子育て支援担当職員(ケースワーカーとする)を必須とし、常勤職員配置を原則とすること。
 A 保育職員の配置基準は、0歳児は子ども3人に付き1人、2歳児は、子ども5人につき1人、3歳児以上については、学級制として、3歳児は1学級に15人までとして職員1人、4.5歳児は、それぞれ1学級定員を20人までとして、ぞれぞれ職員1人とすること。
 B 障害児の入園に際しては、障害児1名につき1名の保育職員を加算すること。
 C 次の園児の人数に応じて、主任保育職員をおくこと。園児200人までは一人、200人以上は園児30人増す毎に1人の主任保育職員を加算すること。
 D 調理員は、60人までで一人、60人以上は30人を超える毎に職員一人を加算をすること。
 E 職員配置基準については、常にその引き上げを図る努力義務を明記すること。

10 保育内容・運営についての規定に以下の内容を盛り込むこと。
 @ こどもの遊び、休息、発達、教育、保育等の諸権利を保障する乳幼児期の個々の子どもの状況に合わせて子どもの最善の利益を総合的に保障できるカリキュラム編成とすること。
 A 保育内容(カリキュラム)の基本は、教育・保育の時間を分断することなく、子どもの1日の生活の流れにそって教育・保育を一体的にとりくむと共に、ゼロ才から就学前までの一貫した保育内容を明らかにして実施すること。
 B 保育内容の公開を義務づけること。また、保育内容について、保護者、関係団体、専門家も入った保育評議会(仮称)を設け、定期的に検証し見直す仕組みを設けること。
 C 運営に際して、市町村、施設職員、保護者、地域住民や関係団体等も入った運営協議会の設置を義務づけ、開かれたた施設運営となるようにすること。
 D アレルギーのある児童や発達障害児をはじめとした障害をもつ子どもに対しては、特別の配慮が出来るようにすること。また、年度途中の入所児に対しても十分対応できる体制を確保すること。
 E 給食は施設内調理を原則として地産地消に努めること。
 F 認定こども園の規模については、教育、保育の質の確保及び子どもの安全性の確保の観点から、県が定める上限を超えてならない。

11 子育て支援にかかわる事項について以下のように明記すること。
 @ 実施する子育て支援事業の内容については、市町村との協議して設定し、市町村と の十分な連携がとれること。
 A 子育て支援に関わる職員配置は、子育支援事業として専任で配置すること。
 B 子育て支援事業にかかわる必要な施設設備を別途確保すること。
 C 子育て支援に関わる施設設備にいては、地域に開放すること。

12 保育料の設定及び滞納の場合の対応については以下のようにすること
 @ 3才未満児の保育料の設定にあたっては、事前に、市町村と協議を行い、近隣保育所との格差が生じないようにすること。
  A 保育に欠ける子どもの保育料についは、保育料を理由に低所得者が入所が困難にならないよう、市町村の保育料に準じて設定することを義務づけること。
 B 保育に欠ける子どもで保育料を滞納した場合の対応は、市町村と協議した上で決めることを義務づけること。
 C 契約の解除はあくまでも施設と保護者双方の合意で行うこと
 D 幼稚園型、の認定こども園の保育料についても、市町村の意見を求めることができることとすること

13 県の責務を以下のように明記すること。
 @ 認定子ども園の認定にあたっては、保育・教育の専門家、県民及び保育・教育関係団体等による認定委員会を設置し、認定に関して意見を求めると共に、監査結果の報告と認定に関する苦情、相談等も受け付けること。
 A 県は、認定子ども園の運営について、毎年状況の報告を求めると共に、状況を聴取し、必要に応じて、立ち入り検査を行い、改善の勧告、命令をすることが出来ること及び勧告、命令内容については、公表することが出来ること 
 B 認定子ども園の事業の安定的継続と保育・教育の質を確保するために、県は必要な助成策を講じるよう努めなければならない。
 C 県は、市町村と協力して、保護者からの契約不履行に対する相談、訴えができる第3者機関を設けなければならない。
 D 認定こども園が実施する子育て支援事業の内容については、市町村との協議の上で設定し、市町村との十分な連携がとれるようにすること。また、県として、必要な子育て機能が発揮できるよう市町村と協力して財政支援を行うよう努めなければならない。
 E 県は、教育、保育の質の確保及び子どもの安全性の確保の観点から、認定こども園の規模、定員については、上限を定めなければならない。
 F 待機児童のいる地域では、幼稚園型の認定こども園に入所した保育に欠ける子の保 育料が所得に応じたものになるよう県と共同して必要な支援を行なわなければならない。
14市町村の責務として以下の内容を規定すること。
 @ 市町村は、認定子ども園の入所に関する選考基準を設定し、公表すると共に、選考が公正に行われるように努める義務を負うこと。
 A 市町村は、保育に欠ける児童が、認定子ども園に入所出来なかった場合、保護者の意向を尊重して保育所への入所させ、保育を保障する義務を負うこと。
 B 認定子ども園に入所した保育に欠ける児童の保育料の滞納や支払いが困難な事情が生じた場合は、認定子ども園と協議し、保育の継続ができるよう必要な措置を講じなければならない。
 C 市町村は、保育の欠ける児童について、保育の提供を行うために、認定子ども園と保育委託契約を結ぶことが出来る。
 D 市町村は、県と協力して認定こども園が必要な子育て支援機能が発揮できよう必要な財政支援に努めなければならない。
 E待機児童のいる地域では、幼稚園型の認定こども園に入所した保育に欠ける子の保育料が所得に応じたものになるよう県と共同して必要な支援を行なわなければならない。

V 認定子ども園の制度発足に当たり、県内の保育教育条件の改善のために以下の措置を県 として講じること。
1 保育児待機児童解消のために、市町村と協力して保育所の増設を図ると共に、施設 整備費補助の拡充を図ること。
2 認定子ども園の保育・教育の質の向上を図ると共に、保育料が高額にならないよう、 人件費補助を行うこと。また、障害児等特別の配慮が必要な子どもの保育 が保障されるよう加算措置を講じること。
3 現行の無認可保育所、私設保育施設については、最低基準をクリアーできる為の支 援策を講じ、認可施設への移行を促進することを基本とすること。

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