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県議会での取り組み2006年9月議会>みわ智恵美議員の意見書に対する賛成討論
県議会での取り組み

2006年9月定例会

みわ智恵美議員の意見書に対する賛成討論

(10月6日 本会議)

私は日本共産党県議会議員団を代表して、「教育基本法の『改正』に反対する意見書」案に対する賛成討論を行います。

教育基本法の国の責務を果たしてこなかった日本政府

 今、全国で、いじめや、学力の問題、高い学費による進学の断念や、中途退学など教育をめぐる問題はいっそう深刻になっています。
 政府は、「子どものモラルや学ぶ意欲の低下、家庭や地域の教育力の低下、若者の雇用問題なども深刻化」などを示して、教育基本法の改正を提案していますが、条文のどこに原因があるのかは、まったく述べられていません。
教育基本法は、第三条で「すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならない」「経済的地位によって教育上差別されない」と「教育の機会均等」を規定しています。ほとんどの先進国では高校や大学の授業料などは、無料になっています。ところが、日本では、公立でも高校授業料が年間10万円以上、大学では何十万円もかかります。
 また、第十条で「教育行政」について、「国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」「この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない」と規定しています。先進国のほとんどで、低学年の一クラスは、20人以下であるにもかかわらず、日本では40人学級のまま、養護学校での入学が、抽選で決められるなどの状況が起きています。
 国連子どもの権利委員会は、日本政府に対して、1998年に続いて2004年にも厳しい勧告をだしました。勧告では、改善を勧告したにもかかわらず「十分なフォローアップが行われていなかった」なかで「子どもの肉体的および精神的な健康に否定的な影響を及ぼし」ていると、繰り返し過度に競争主義的な教育のあり方を改善することを求めています。また、教育改革が生み出す格差や「教育における平等」の解体の状況について、教育費の私費負担の大きさが原因であること、政府が行っている公教育部分の縮小ないしは切り捨てを問題として指摘し、教育への財政的な支出も日本政府に改善を強く求めているのです。歴代の政府は、教育基本法の責務を果たさず、「競争と管理の教育」を押しつけ、教育に税金を使うことには極端に怠慢でした。このことが今日の教育問題を生じさせている要因となっているのはあきらかです。

日本人の手によって成立した教育基本法

 今、教育基本法が、占領政策の中で押し付けられたとの指摘があります。しかし、1946年3月5日及び7日、占領軍総司令部の要請した米国教育使節団が、日本教育家の委員会と協力して、まとめた報告書には、教育基本法のごとき法律を定めようとするような内容は含まれていませんでした。そして、1946年、帝国憲法改正案が審議された際に、田中耕太郎文部大臣が、教育根本法ともいうべきものを早急に立案して議会の協賛を得たい旨を答弁し、内閣総理大臣の下に教育刷新委員会が設置されたのです。そこで、12回にわたり検討を重ね、教育基本法制定の必要性と、その内容となるべき基本的な教育理念等について、決議し、翌1947年3月4日、教育基本法案は閣議決定され、3月12日、政府が教育基本法案を提出、原案どおり可決・成立したのです。以上は文部科学省の「教育基本法制定の経緯」から引用しましたが、まさに、教育基本法は日本人の手によって、自主的・自律的に成立されています。
 教育刷新委員会の副委員長・委員長としてこのプロセスに深く関わった東京大学総長南原繁氏は、「終戦後の教育改革はアメリカの教育使節団によって強制されたものであるから、これを再改革すべきだということが一方に流布されておる。もしもそれが理由であれば、それは真実をいつわるものといわなければなりません。」と証言しています。
 教育基本法の目的には、「教育は、人格の完成をめざし」として、教育が、一人ひとりの人間として、成長・発達するために欠かすことのできない、生活と学びの権利を保障するものであることを示しています。世界の教育がそういう方向性にまとまってくるのは、1989年の「子どもの権利条約」以降です。条約の第29条「教育の目的」には「児童の人格、才能、並びに精神的、及び身体的な能力を、その可能性を最大限度まで発達させること」とあり、「教育基本法」第1条と同じです。ようやく20世紀の終わりに世界の国々が近づいてきたのです。
 ところが、政府の「改正」案には、「教育の目標」を新設し、「勤労を重んずる態度」や「環境の保全に寄与する態度」を養うこと、などとして、今でさえ、受験競争や、人間関係の葛藤、家庭の経済的貧困などで苦しんでいるこどもたちに、子どもの人としての成長を期待するのではなく、国が決めた態度を示せば、評価されるという道徳的強制をおこなうものとなっています。子どもたちの心にまで踏み込むやり方は、世界がお手本にするどころか、子どもの権利条約にも反するものです。

教育基本法を生かしてこそ、教育をめぐる困難を打開できる

 東京大学基礎学力開発研究センターが学力問題や国の「教育改革」について全国の校長の意見を聞くため、今年の夏、公立小中学校約1万校に協力を依頼し、3,812校から回答を得て、このほど中間集計をまとめました。「政府の教育基本法改正案に賛成である」という設問では、「そう思わない」「全くそう思わない」が合わせて66.1%を占めました。政府の「教育改革」について「学校が直面する問題に教育改革は対応していない」と思う人が79.8%におよびました。これは、教育基本法の「改正」や教育改革は、教育の現場が直面している問題に対応していないばかりか、さらに深刻にさせるものであることを、率直に告発しています。
 日本の教育基本法は世界の中でもお手本になっています。今の教育をめぐる困難や、子どもたち、国民を苦しめている問題を打開し、子どもたちの瞳を輝かせるは、教育基本法「改正」ではなく、人格の完成をめざす教育基本法の目的に立ち返り、生かしていくことしかありません。県議会の議員の皆様の、日本共産党県議団提出「教育基本法の『改正』に反対する意見書案」への賛同を、こころよりお願い申し上げ、私の賛成討論とします。

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