| 2006年5月臨時会
みわ智恵美議員の議案に対する反対討論
(2006年5月22日 本会議)
私は日本共産党県会議員団を代表し、県報第2号ほか2件の議案について所管常任委員会の審査結果に対する反対討論を行ないます。
県立病院の初診料加算は廃止すべき
県報第2号は、精神保健指定医の報酬等に関する条例等の一部を改正する条例についてです。この間の医療改悪で、患者への保険外負担を増やす特定療養費の対象拡大が行われてきました。今回変更となる非紹介患者への初診料の加算もその一つで、加算を求めることが出来るからと、県立病院では96年9月から、初診料に加えてこの加算分も県民に求めてきました。今回、国は、告示を変更し、非紹介患者の初診料加算の基準をなくし、病院の判断で自由にとれるようにしました。加算を請求できる県立病院では、05年単価のまま今後も患者に請求するとしていますが、地域にお産が出来る病院がないなど、直接県立病院に受診せざるを得ない実態等があるなか、地域医療の要である県立病院で、県民への負担を求めるのは、県民の立場にたった県立病院とは言えません。医療改悪による負担増が更に進められようとしている中、いつでもどこでも安心して、必要かつ十分な医療をうけられる権利を保障するために、出来る規定で、基準がなくなったからこそ、加算を廃止すべきでありこの議案は認められません。
学校の注意義務違反とする判決を真摯に受け止めるべき
県報第3号は、損害賠償請求訴訟の判決に対して、知事が控訴の専決処分を行ったことの承認を求める議案です。
この裁判は1998年7月27日に県立野庭高校1年生が自殺により死亡したことに対して、その生徒の母親らが、いじめがあったとして神奈川県に対して損害賠償金の支払いを求めて行われたものです。
県は、裁判所が、「県の責任は生前の生徒に精神的な苦痛を与えたことに関する損害賠償」という判決をだしたことにたいして、判決は事実認定に誤りがあるとして控訴しました。
判決は、自殺した生徒さんからの学校への「様々な訴え、行動、医師の診断、自殺企画からすると本人が抱えていた精神的苦悩は非常に大きなものであったことは明らかであるから」学校として生徒の「このような状態を認識することが可能であれば」「苦悩を取り除くための適切な措置を講ずる義務があったというべきである」としています。「高校は組織として」苦しむ生徒の「問題を取り上げ」その「話を受容的に聞いたり、助言する。あるいは被告生徒の言い分を聞いて助言する。生徒全体を相手に注意喚起」し生徒の「苦悩を軽減させるべき措置を講ずる必要があったことになる。」との裁判所の判断は学校に対する保護者・市民の当然の期待を示しています。しかし野庭高校が「組織的な対応をすることなく終始した。」として「5月中旬から6月中旬に」「適切な措置を講じていれば」生徒の「苦悩は相当軽減されたものと認めるのが相当である」と、学校の注意義務違反との判断をしているのです。
裁判所が「公立学校における教員には学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係において生徒の安全の確保に配慮するべき義務があり、特に、生徒の生命、身体、精神、財産等に大きな悪影響ないし危害が及ぶおそれがあるようなときには、そのような悪影響ないし危害の現実化を未然に防止するため、その事態に応じた適切な措置を講じる一般的な義務があるというべきである」との判断をしたことは適切です。
また、学校が生徒の自殺が起きたことについて、公立学校としての責務が組織的に果たされていたのかどうかを検証しその内容を明らかにしていれば、裁判に訴えられることも、ましてや生徒を被告席に立たせることも無かったのではないでしょうか。
県として今回の判決を認め控訴するべきではありません。
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警察官の救護義務違反を認めた判決を受け止め、控訴はやめるべき
県報第4号は、損害賠償請求訴訟の判決に対して、知事が控訴の専決処分を行なったことの承認を求める議案です。
この裁判は、97年7月19日、横浜市保土ヶ谷区内の交差点付近路上に駐車していた車の車内で男性が死亡、男性の遺族である原告が、通報を受け現場に駆けつけた警察官が救護措置をとらなかったこと、監察医が遺体の解剖を行なっていないのに虚偽の死体検案書を作成し、交付したとして神奈川県ほか4名に対して損害賠償請求の訴えを横浜地方裁判所に行なっていたものです。
判決は、警察官の救護義務違反を認めること、救護義務違反のために延命可能性の侵害が生じたこと、また、司法解剖については、頭部を解剖しないなど異例としながらも、解剖はなされたとの判断をした等の内容でした。また、救護義務違反による男性の延命可能性の侵害によって生じた損害として、県の賠償責任をみとめ慰謝料500万円、弁護料49万円の支払いを求めました。
この判決に対して、原告は控訴、神奈川県も、敗訴の部分について反省点はあったとしながらも、控訴をしました。
県は控訴の理由を事実誤認としています。しかし、本当に事実誤認でしようか。当日、110番通報をうけた保土ヶ谷警察署員2名が現場に到着しました。男性が乗っていた車は、フロントガラスにひびが入り、左前輪タイヤがパンクし、左フェンダーミラーが脱落、右前バンパーなどの損傷が生じていました。しかも、この車は、交差点手前の右折専用車線停止線の手前で停車し、ハザードランプを点滅させた状況でした。男性は頭を助手席に載せ、両足のひざを立てて運転席に載せた状況で、仰向けに横たわっていました。警察官がひざをたたき「起きて下さい」と数回声をかけても男性は目を覚ましませんでした。これは極めて異常な事態です。ところが、警察官は、車輌が交通事故を起こしたと認めながらも、外傷や着衣の乱れもなかったこと等から、疲労または飲酒により寝ているものと判断、警察官が男性の車の運転席に乗って、男性の両足を左肩にかつぐような状況で車輌を運転し、現場から移動させました。
また、警察官は無線機で保土ヶ谷署にナンバーを紹介したところ、所有者の名前住所が判明しました。ところが警察官は、そのうち目を覚ますだろうと考え、救護措置をとらず、男性の自宅に連絡することなく、保土ヶ谷警察署に「運転手現れ移動させて終了した」と報告しただけで、現場を離れてしまいました。その後、男性は、2時間後に死亡しました。警察官は飲酒の可能性も上げて寝ているものと判断したとの事ですが、実際男性は飲酒していなかったことが判明しています。
警察官職務執行法では「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して」「応急の救護を要すると信ずるに足りる相当の理由のある者は」「警察署、病院、救護施設など適当な場所において、これを保護しなければならない」とし、その対象に、迷い子、病人、負傷者等で適当な保護者を伴わない者をあげています。
この立場にたてば、「男性が眠っていたものと軽信し、何らの救護措置をとることも、保土ヶ谷警察署や男性の自宅に報告することもなく男性を放置した行為は、個人の生命を保護する義務を負った警察官として、その義務を怠ったものといわざるを得ない」との裁判所の判断は適切です。
そして裁判所が、2000年9月22日の最高裁判所の判例をもとに、今回の事案を「パトカーで急行し現場に臨場したこと、男性が生命の危険のある状況にあったこと、男性の生命の維持が警察官の救護に全面的に依存していたこと」、また、「男性が54歳で大病を患ったことがないこと」などをあげて警察官が救護することによって男性の延命の可能性があったことから、県に賠償義務を負うようにしたのは当然のことです。よって県は控訴はやめるべきであり、専決処分には反対です。
以上主な理由を述べ県報第2号、第3号、第4号に対する所管常任委員会の審査結果に対する反対討論を終わります。
以上主な理由を述べまして、日本共産党県議団としての反対討論を終わります。
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