| 2006年2月定例会
かわの幸司議員の新年度議案に対する反対討論
(2006年3月23日 本会議)
私は日本共産党県会議員団を代表し、定県第1号議案ほか19の議案、請願第41号ほか10の請願に対する所管常任委員会の審査結果に反対の討論を行ないます。
セイフティーネットとしての役割を果たせる予算編成を
まず第1に定県第1号議案、平成18年度神奈川県一般会計予算についてです。小泉内閣になって5年経過しようとしています。小泉内閣のもとで、医療制度の改悪などで既に約6兆7400億円の負担増・給付減が行なわれて来ました。また、既に決定されている今後3年間に実行される負担増・給付減は、年金制度の改悪などで約3兆8800億円となり、2006年度の国の予算案では、定率減税の全廃などで約2兆9600億円の負担増・給付減も行なわれようとしています。何と、小泉内閣のもとで約13兆5800億円の負担増・給付減となることになります。また、97年以降減少していた現金給与総額も、小泉内閣のもとでも毎年減少、2001年度から2004年度の間に、4.7%も減少しています。一方、大企業の余剰資金は2001年からプラスに転じ、2005年9月で83兆円にふくれあがっています。大企業が大もうけする中で、国民の暮しが厳しさを増し、国民の間での格差拡大をもたらしたのが、小泉内閣の構造改革路線です。だからこそ、地方自治体である神奈川県が「住民の福祉の増進」の立場に立って、セイフティーネットとしての役割を果たすことが求められています。しかし、新年度予算案は、セイフティーネットとしての役割を果たしているとは言えません。
大企業に461億円、中小企業は19億円−インベスト神奈川
新年度予算案には、インベスト神奈川・施設整備等助成金、5億7800万円が初めて計上されました。この制度は、企業の県外への移転を抑えること、県内企業の設備投資を促進し、県内産業の活性化を図るためなどとして進められてきました。しかし、この施策は、大企業には443億5900万円、中小企業には169億7600万円と、大企業への助成額を72.3%の目標にするなど、もともと大企業支援の施策になっていました。そして、企業による申請が始まると大企業偏重が一層増大され、現在までに大企業14件で461億円、中小企業は14件で19億円と、大企業に対する助成額が96%となっています。また、この施策の大事な課題として雇用の確保があります。ところが、申請第1号の富士写真フイルムが、足柄工場と小田原工場で合わせて2600名の従業員を2200名にし、今年の3月までに100名の人員削減を行なうことが新聞でも報道されました。研究所の建設で従業員を確保するけれども、その一方で人員削減では、何のための助成制度なのかと言わざるを得ません。インベスト神奈川・施設整備等助成制度のように大企業に多額の助成金を出すことは、県の施策としてこれまでになかったことであり、このような大企業支援は止めるべきです。
新年度の公共事業費は、今年度比99.2%なっていますが、自動車専用道路整備費は155億円、市街地再開発事業費は29億9890万円と今年度と比較し増額、大型公共事業は積極的に推進しています。
また、羽田空港の再拡張・国際化への対応として、東京国際空港緊急整備事業貸付金は今年度の9億1700万円を大きく上回る23億1200万円が計上されています。この貸付金を実施することを決めた際、松沢知事は「羽田空港と神奈川県を結ぶ神奈川口の設置により、県民へのメリット、利益があることが説明できなければならない。神奈川口をつくって頂かねばならない」と発言しています。しかし、神奈川口構想の柱となる税関・出入国管理・検疫施設の設置は、現在、全く見通しが立たず、連絡路整備について、いまだに連絡路の具体的ルートも決まっていません。こうした中での23億1200万円の貸付金は止めるべきです。
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若年者、高齢者、障害者の雇用対策強化を
雇用対策費は、今年度と比較し、6381万円の削減となっています。格差拡大の社会が指摘されていますが、そのおおもとには、雇用問題があり、フリーター、非正規雇用者の増大などの課題解決が求められています。そのために県として若年者、高齢者、障害者などの雇用対策を強化すべきであり、雇用対策費は、大幅増額をすべきです。
福祉関係予算は、市町村と協力して負担軽減策を
福祉関係の予算も削減されています。保健福祉部の予算は三位一体改革などによる義務的経費の増額分が296億5740万円となりました。本来なら、この額と同じ額が保健福祉部の予算として増額されなければなりません。しかし、保健福祉部の予算は、245億6900万円の増額にとどまっています。そして、特定疾患患者に年間42000円支給していた療養援護費を新年度は全部廃止して、総額3億1669万円の減額、在宅重度障害者等手当支給費を65歳以上の新規を対象外にすることで1億5088万円を削減、神奈川県総合リハビリテーションセンターへの指定管理者制度の導入による大幅な人件費削減などで13億4811万円の削減が行われています。
また、障害者自立支援法の関わる予算も、当面、現行制度の維持を前提に予算は組まれていますが、現行サービス水準が長期的に維持出来る仕組みや負担軽減措置は不十分と言わざるを得ません。東京都や京都府は、独自の負担軽減策も講じ、経済的理由でサービス利用が制約されないよう取り組んでいます。県として、市町村と協力して負担軽減策を講じるべきです。
また、ひとり親家庭等医療費助成事業費補助、重度障害者医療給付事業費補助については、中核市に対する県の補助率の引き下げが行なわれようとしています。しかし、この補助率引き下げは、今年度に引き続き中核市との十分な協議が整わないうちに一方的に行なったものです。このようなやり方は、市町村との信頼関係を壊すものです。
以上のように、大企業支援を進めるとともに、セイフティーネットとしての役割を果たし切れていない、新年度の一般会計予算案には反対です。
県立埋蔵文化財センター条例の廃止は民営化に道を開くもの
小泉内閣は、「官から民へ」、小さな政府、規制緩和の立場に立っての施策を積極的に進めています。しかし、耐震構造偽装事件やライブドア事件は、官から民へ、小さな政府、規制緩和が、国民の安全と命を脅かす状況をつくりだしていることが明確になりました。ところが、県は、指定管理者制度の導入、民間活力の導入、民営化、職員数の削減など、国の推進方向での取組みを進め、この立場での条例改正を提案しています。
まず、定県第25号議案、神奈川県立埋蔵文化財センター条例についてです。この条例の廃止は、埋蔵文化財センターにある展示機能を移転し、公としての機能を廃止することに伴い県立埋蔵文化財センター条例を廃止するものです。この展示機能の移転は、県の第3セクターである考古学財団を5年後に民間にする方向に基づいたものです。考古学財団は、独立採算で県の埋蔵文化財の発掘・調査報告を行ない、大きな役割を果たしており、民営化する根拠はまったくありません。これまでに蓄積された年代ごとの専門的な知識、専門性が、更に生かされるように県として支援すべきであり、民営化に道を開く条例の廃止には反対です。
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病院や保健福祉関係職員の削減は認められない
次に定県第26号、神奈川県職員定数条例を改正する条例についてです。病院事業関係については、定数を43名削減しようとするものです。しかし、今後、県立病院では高度専門医療への取組みが一層進められることとなり、これを支える看護師、医師などの医療スタッフの拡充が求められています。こうした中での定数削減は認められませんし、医師や看護師の体制が不十分な現状を直ちに解決すべきです。
また、保健福祉部関係においては保健福祉大学の移管や保健所業務の藤沢市などへの移管などを勘案すれば、実質9名の削減となっています。県児童相談所が養護施設に措置した幼児が、帰宅中に虐待によって死亡した痛ましい事件がおきました。この要因の中には、虐待防止法の改定で、市町村支援等の新たな課題も加わり、県所管域の虐待相談件数が、この5年間で3倍に増えているのに、児童福祉司は1.3倍にしか増えず、これまで十分な体制をつくってこなかったことがあげられます。児童福祉司一人当たり平均116も担当ケースを抱える体制を放置し、一人一人の児童を充分把握できるだけの体制を整えてこなかった県の責任は重大です。児童相談所の児童福祉司など専門職員を大幅に増員すべきです。更に、県立福祉施設において60人もの欠員がある福祉職をはじめ、衛生監視員や保健師等の専門職員の採用を行ない、専門性が維持できるよう必要な体制を確立し、県としての役割を果たすべきであり、定数削減を行うことは認められません。
県営住宅の応募資格に新たな規定をつくるのは格差社会の是正に逆行するもの
次に、定県第47号議案、神奈川県県営住宅条例の一部を改正する条例についてです。この条例改正は、県営住宅の応募資格者として、個人県民税及び市町村民税を滞納していない者であること、県営住宅の家賃を滞納していない者であることを加えることとされています。しかし、今、国民のくらしが大変厳しくなっている中で、住民税を払いたくても払えない県民も増えています。また、県営住宅入居者の生活も大変厳しくなっており、このことは、県営住宅入居者の中で、家賃減免者が、98年10月の7.9%から2005年3月の19.6%と増加していることにも示されています。こうした状況の中で応募資格者に新たな規定をつくるのは、格差社会の是正に逆行するものです。また、子育て世代に限り一定期間入居できる住宅を設ける規定を追加する改正も提案されています。子育て世代に配慮した支援策とは思いますが、この子育て世代の入居期間は、こどもの就学前から小学校、中学校の就学期間中に限定することとし、子どもが高校生になった場合には、退去しなければならないとしています。より教育費にお金がかかる高校生になったら退去では、子育て支援としては極めて不十分であり、入居者の居住権が完全に保障されてはいるとは言えません。このような新しい規定を加える理由として「県営住宅の応募倍率が高く、入りたい人がたくさんいる」「入居者資格の公平性を確保するため」等と説明されています。しかし、応募倍率が高いのは、それだけ県営住宅への入居希望者が多いと言うことを示している訳で、この要望に応じて県営住宅の新設、増設に積極的に取組み、前向きに解決すべきです。今、大手ハウスメーカーや国は、持ち家政策を推進し、「住宅ストックは充足している」「公共住宅については役割が終わった」として公営住宅の新規建設を止め、国民の住宅供給を民間市場まかせにしようとしています。これを受けて県も同じスタンスを取っていますが、こうした対応こそ、あらため、県営住宅の新設を行なうべきであり、この条例の改正には反対です。
国歌斉唱を押し付けることは思想良心の自由を蹂躙する
最後に、請願についてです。
請願第81号「卒業式・入学式における国歌斉唱についての請願」についてです。この請願は、「国歌斉唱時に起立しない教職員に対しては、厳正に対処し、継続的な指導に従わない場合は、服務上の責務を問うこと。」となっています。しかし、「国旗国歌法」の制定をめぐる国会審議は1999年に行なわれましたが、7月28日の参議院本会議で、小渕恵三当時の総理は「政府としては、法制化に伴い、国民に対し国旗の掲揚、国歌の斉唱等に関し義務づけることは考えておらず、法制化により思想、良心の自由との関係で問題が生じることにはならない」と答弁、有馬朗人(あきひと)当時の文部大臣は、8月2日、参議院国旗及び国歌に関する特別委員会で「本法案は、国旗・国歌の根拠について、慣習であるものを成文法として明確に位置づけるものでございます。これによって国旗・国歌の指導にかかわる教員の職務上の責務について変更を加えるものではございません。」と明確に答弁しています。こうした国会答弁を踏まえれば、国歌斉唱を押しつけることは許されませんし、思想良心の自由を蹂躙する請願第81号は不採択にすべきです。
以上、主な理由を述べ、所管常任委員会の審査結果に反対する討論を終わります。
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