| 三位一体の改革について
三位一体改革の目的は、地方自治の財政的保障を確立すること
〔みわ議員〕
小泉構造改革は、国の財政負担を減らすことだけを最優先にしたため、税源移譲なき事務負担を地方に押しつけ、地方財政を圧迫しました。
神奈川県の今年度予算においても、直接的には税源移譲予定特例交付金(150億円)と所得譲与税の創設(140億円)による290億円の増収、国庫補助金の削減(160億円)と第2種地方特例交付金の廃止(105億円)による265億円の減収、トータルで25億円の増収となります。しかし、地方交付税と臨時財政対策債の合計額は、昨年度(3,038億円)に比べ今年度当初予算(2,200億円)では838億円もの減収となっています。地方交付税は、税収増などに伴う減額などもあり、どこまでが三位一体の影響なのかはハッキリしませんが、直接的な25億円の増収分をあわせても大幅な減収であることは明らかです。こうした減収による財政ひっ迫を理由に生保受給者への慰問金が廃止されるなど住民サービスに大きな支障をきたしています。また、小規模自治体では、交付税の削減により自治体の存続そのものの危機に陥り、事実上、合併を強制されています。
三位一体改革とは、こうした国の借金の付けを地方に押し付けるやり方が国民・地方自治体の反発を買ったため、国庫補助負担金・交付税・税源移譲を一体として見直さざるを得なくなったもので、その目的は、地方の事務量に必要な税財源を国から移譲し、地方自治をすすめる財政的保障を確立することにあるはずです。
知事は、今定例会で、三位一体の目的を「地方自治体の裁量権と自由度を高めることにより住民の受益と負担の関係を明確化し、真に住民に必要な行政サービスを地方自治体の責任で選択するという地方分権改革の実現をめざすもの」と答えていますが、地方税財政の総枠を広げなければ、地方自治体を維持することが困難になってしまい、自治体の裁量権と自由度は、いっそうの住民犠牲と引き換えになってしまうと考えますが、知事の見解を伺います。
〔回答〕
本来の三位一体の改革とは、「地方が担うべき事務と責任に見合った税源移譲が行われ、国の関与を縮小した上で、国庫補助負担金の廃止・縮減と地方交付税の見直しを三位一体で進める改革」であるべきです。
しかしながら、平成16年度の改革の結果は、地方交付税や臨時財政対策債が、国庫補助負担金の廃止・縮減や税源移譲との関連を超えて大幅に減額されるなど、国の財政再建が優先された結果となり、大変不満の残る内容でありました。
今後も、国から地方への税源移譲が不十分であった今回同様のことが続けば、本県の財政運営は立ち行かなくなることが確実でありますので、十分な税源移譲を基本に据え、バランスのとれた改革にしていくべきだと考えております。
教育・福祉のナショナル・ミニマムや地方交付税は維持・拡充すべき
〔みわ県議〕
小泉内閣の骨太方針2004では、「3兆円程度の国庫補助負担金改革」や地方交付税の「地方の歳出を見直し、抑制」「地方団体の効率的な行財政運営を促進するよう地方交付税の算定の見直しを検討」を前提に、「税源移譲は概ね3兆円規模を目指す」とされています。そして、国庫補助負担金の見直しは地方が提案することとされ、国庫補助負担金をどう考えるかが大きな争点ともなっていますが、国庫補助負担金については、「ひもつき」と言われる補助金があるとともに、ナショナル・ミニマムの国の責任として負担しているものもあります。
知事は、本会議場で「税源移譲を前程として、原則すべての国庫補助負担金は国の関与とともに廃止し、地方自治体に任せてもらいたい」とし、義務教育費国庫負担金についても、「義務教育と言えども」「聖域あつかいなく早急に議論すべき」と早急に一般財源化するべきとの認識を示されました。しかし義務教育費国庫負担制度は、1950年にいったん廃止され、地方財政平衡交付金に吸収された結果、教育条件の低下と地方間隔差が生じたため1953年に国庫負担制度が復活された歴史があります。国が義務教育に対して財政上も責任を負う事は、憲法、教育基本法上当然のこと、国庫負担金として地方に支出すべきものです。現在どの地方自治体も財政難に苦しんでいますから、その中での一般財源化は、その歴史が示すように教育の機会均等とその水準の向上を阻害する恐れがあります。義務教育費国庫負担制度は、義務教育に対する国の責任、義務教育無償制と完全就学の保障、教職員の人材確保、地域間格差の是正、教育水準の安定的確保、地方財政の健全化等の視点からも今後とも必要です。だからこそ、一昨年3月衆参両院の文部科学委員会において、全会一致でこの制度の根幹堅持に係る付帯決議が可決され、全国教育長協議会や、全国PTA協議会も制度堅持を訴えているのです。また、生活保護費国庫負担金も、ナショナル・ミニマムとしての生活保護制度を保障するための負担金ですし、本来、生活保護は国が直接実施するべき事業です。三位一体の改革ではこの負担率を削減する動きもありますが、現在の負担率4分の3を引き下げれば、制度の水準そのものが危うくならざるを得なくなり、憲法第25条に対する責任が問われるものです。こうした教育や福祉分野でのナショナル・ミニマムを保障する補助負担金は維持・拡充するべきです。
また、地方交付税は、税源移譲に伴う税財源の偏在も予想され、維持・拡充すべきです。
こうした観点を踏まえ、三位一体改革に対する地方からの対案は、地方税財政の総枠を広げることを前提に、(1)税源移譲は、所得や資産にかかわる税を中心に行う、(2)国庫補助負担金は、公共事業などを中心に一般財源化し、教育や福祉の補助負担金については維持・拡充し、自治体の上乗せや工夫が行えるように改善すること、(3)地方自治の財政的保障として地方交付税の財源調整・財源保障機能は堅持・拡充する、の立場で行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
〔回答〕
三位一体改革に対する本県の基本的な考え方は、従前から主張しておりますとおり、基幹税を中心とした税源移譲を前提に、原則として全ての国庫補助負担金について、国の関与とともに廃止するというものであります。
今回の具体案では、3兆円の税源移譲に見合う額を提示することとなりますので、地方の裁量権の拡大や県民サービスの向上が見込め、かつ、できる限り税源移譲に結びつきやすいものを優先すべきであり、その上で、税源移譲に伴う地方の財政力格差に対する税源調整等をしっかりと行う必要があると考えております。
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