| 2001年2月定例会(3月23日 本会議)
藤谷昌男県議の新年度議案に対する反対討論
私は、日本共産党県会議員団を代表して、定県第1号議案、平成13年度神奈川県一般会計予算他20件の議案ならびに請願第68号、70号、71号の請願に対する所管常任委員会の審査結果に反対の討論を行います。
県民の生活や将来不安解消のため、県政が全力をあげるべき
初めに、一般会計予算案についてです。
知事は提案説明で「企業収益はかなり改善がみられるなど、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが継続しております」と述べられ、経済が改善し始めているとの認識を示されました。しかし、最近の各種指標は、改善どころか悪化の傾向が示されています。
総務省が発表した1月の労働力調査によると、完全失業率は昨年12月と同率の4.9%と過去最悪となり、完全失業者数も317万人と1年前より増加しています。また、有効求人倍率は、県内で0.55倍で99年4月以来、1年9ヶ月ぶりに低下しています。 さらに、民間の調査機関である帝国データバンクによると1月の県内企業の倒産件数は68件で前年同月と比べ58.1%増加し、12ヶ月連続で前年を上回っているなど、不況の深刻ぶりが浮き彫りになっているうえ、一連の社会保障の改悪によって、国民の負担増は、年間3兆円にも及ぶものになっており、県民の生活や将来不安も深刻なものになっています。
こうした県民の不安を解消するため県政が全力をあげることが強く求められています。
2001年度当初予算は、2年連続でプラスに転じ、前年度比0.23%増の1兆7,016億円になっています。 歳入面からみれば、2000年度決算が実質収支を黒字に転換したうえで、さらに320億円の財源を確保し2001年度に活用できること、企業収益が引き続き増益基調を維持し、法人2税は前年度比830億円の増収が見込まれるとしています。
しかし、県はその分地方交付税が減額され、財政が厳しいとし、財政健全化と行政システム改革を推進し、引き続き県民に犠牲を強いる財政運営を進めようとしています。
これまでの旧態前とした公共事業のあり方が問われている
新年度予算の重点は、あくまで「新総合計画21」の5つの県土構想の推進であり、市街地再開発事業費の大幅増、自動車専用道路網の整備やインターチェンジ接続道路の整備など、その予算額は385億円で前年度比24億円(6.7%)増となっているなど、従来型の公共事業へ重点的に配分されています。 しかし、これまでの旧態前とした公共事業のあり方が問われています。
例えば、予算委員会でも議論されましたが、県は三浦縦貫道路建設で神奈川県道路公社に対する
20億円の貸付金を計上しております。
これは、三浦縦貫道の通行料収入が予定を大幅に下回ったため、道路公社の償還計画に支障をきたすことになり、貸し付けられるものです。
県は、交通量を引き上げるためにも新たなアクセス道路建設が必要としていますが、これでは、雪だるま式に借金を増やしながら、いつまでも道路建設をしなければならない矛盾に陥っています。
県は投資的経費は前年度比で75億円の減としていますが、新年度におけるPFI方式やリース方式による建設事業費は113億円を超えるものとなっており、実質的な投資的経費は前年度より増額となっています。
新年度でも新たにPFI方式のための債務負担行為が設定されようとしていますが、このPFI方式による4施設で総額928億5,800万円にもなり、後年度負担の増額が財政硬直化をさらに加速させようとしています。
農林水産業費は74.3%にあたる168億6,800万円が公共事業費であります。
農業の基盤整備は確かに必要ですが、公共事業に偏った予算の使われ方を改め、価格補償など農業振興策の充実に施策を転換させるべきであります。
福祉・医療関係予算は実質的に減額されている
一方、福祉・医療の予算は実質的に減額されています。福祉・医療の予算は、前年度比で0.7%11億円余りの増額となっていますが、児童扶養手当てなどの義務的経費の増加分は主なものだけで46億円以上となり、実質的に35億円の予算が削られることになります。
また、介護保険給付費負担金を39億円も削減しています。当初見込みより大幅に利用が落ち込んでいる実態を、まともな調査もせずに減額することは県の責任放棄であります。
介護保険全体をより利用しやすいものにするために、低所得者対策としての減免制度は必要であり県としても減免する市町村を支援すると共に、寝たきり老人を抱える家庭に対する見舞金も削減すべきではありません。
さらに、国が実施し、救命救急で多くの県民の命を助けてきたドクターヘリの運行予算を年度当初で確保しなかったのも大きな問題です。
県民本位の財政運営をすすめるためにも、財政危機の要因である肥大化した公共事業費を多少減らす程度ではなく、国直轄事業負担金が強いられる自動車専用道路建設にもメスを入れるなど、大幅に圧縮し、内容も高度経済成長期に定着した開発型から、都市のバリアフリー化などの改善型公共事業や特別養護老人ホーム建設などの生活密着型に転換すべきであります。
明確な理由のないドームシアターの買い取りは認められない
新年度予算における横浜21世紀座事業については、玉三郎氏側の責任と同時に、県としての責任が問われることは当然のことです。
公演を進めていく上で県は、21世紀座を支援する立場だとして責任を回避しようとしてきましたが、当初からこの公演を進めていく上で県が、直接玉三郎氏側と話し合うなど重要な役割を果たしてきており、昨年の9月14日には、玉三郎氏と岡崎知事が共同の記者会見も行われています。にもかかわらず、この事業を進めていく上で、玉三郎氏側と21世紀座、あるいは玉三郎氏側と神奈川県の間で何らの契約書も交わされないというズサンなやり方で、県の責任は厳しく問われなけなりません。そして、玉三郎氏降板後も問題解決のために県が、玉三郎氏側と直接あっての話し合いもせずに、12億7,000万円でドームシアターを買い取ることなど、到底認めることはできません。様々な形で補助金を削減された文化団体など多くの県民から厳しい批判の声が出るのも当然のことです。
問題を残したまま、産廃建設を進めることは容認できない
次に芦名産業廃物最終処分場建設についてです。民間がつくる際のモデル事業として進められているこの建設予定地は、首都圏近郊緑地保全法に基づく保全地区であり、風致地区条例に基づく風致地区にもなっています。
また、芦名連合町内会や多くの住民が建設に反対しています。この建設のやり方がモデルと言うのなら民間廃棄物処理業者に、優良な緑地を破壊して開発を行うことや、住民合意を得ないうちに着々と建設に向けた諸準備を進めているモデルとなり問題です。
もともと産業廃棄物の処理は排出業者が担うことになっているものです。県が事業者にきちんとした指導を行うことこそその役割であります。公共関与の立場で芦名産業廃棄物最終処分場の建設を進めることは容認できません。
押しつけ型の市町村合併はやめるべき
知事は、県内市町村の「合併推進要綱」を策定することを表明し、予算案には、市町村の自主的な合併に向けた取り組みを支援するとして、自主的市町村合併支援費7,000万円が計上されています。
しかし、「合併推進要項」の下敷きとも言える「分権時代における自治体のあり方に関する研究会」の中間報告には重大な問題があります。中間報告の結論部分で、「行財政基盤の弱い市町村が合併するよりも、財政力の強い市町村と財政力の弱い市町村が合併することが望ましい」などと、自治体や住民の頭越しに合併推進方針を打ち出しています。
こうした方針は、自立・自治の基礎自治体である市町村の自治権を無視し、地方自治を乱暴に踏みにじるものといわざるを得ません。
自主的な市町村合併といいながら、実際は上からの押しつけ型の市町村合併は容認できないものです。
過大に見積もられた水道整備計画は認められない
第2に、予算以外の議案についてです。
神奈川県東部地域広域的水道整備計画の改定については、幾つかの問題があります。
まず、愛川町の一日最大給水量2.5万トン分を、ダブルカウントして計画水量に組み込んでいることです。本来なら初歩的なミスなので修正すべきなのに、「影響ない」として修正も行わないズサンなものです。
また、最大給水量の算出根拠となる横浜、川崎両市の人口推計が、県の新総合計画21での人口推計と比べて、46万9,000人も多く、一日最大給水量が過大に見積もられた計画となっていて容認できません。
こども医療センターの特別会計から事業会計への移行による、機能低下や子どもたちへの犠牲転嫁は許されない
定県第31号、第40号は、こども医療センター特別会計を廃止し、病院事業会計へ入れるものです。 こども医療センターは福祉施設、養護学校を併設し、福祉、医療、教育を一体的に運営するということから企業会計にはなじまないとして特別会計の形がとられ、小児の高度専門医療という不採算となる部門だけに、100%一般財源から補填して小児高度専門医療施設としての機能を保ってきました。しかし、この会計システムが県の行政改革のために、次の世代を担う子どもたちの専門医療機能の低下を招く恐れがあり、子どもたちへの犠牲転嫁は許されません。
いま、早急に教科書採択方法を変更する必要は全くない
次に、請願についてです。
請願第68号は神奈川県の小・中学校の教科書採択制度の変更を求めるものになっています。しかし、神奈川県で行われてきた教科書採択は、その綿密な調査、適性かつ公正な採択、いち早く取り組んだ教科書採択情報の公開など、採択制度と運用が全国にも誇れるものであります。1997年度に出された文部省通知にある行政改革委員会の報告に、教科書採択は「将来的には学校単位の採択の実現に向けて検討していくことが必要」とし、「教科書採択の調査研究に当たる教員の数が増えるのは望ましく、採択地区の小規模化」を図るべきとしています。この点では、神奈川はすでにその観点に立って、採択地域の細分化や、多くの教員が教科書研究に参加できる方式をとっており、いま早急に採択方法の変更をする必要は全く無いと考えます。
以上主な理由を述べて、定県第1号議案、3号、9号、15号、18号、19号、21号、27号、28号、31号、32号、38号、39号、40号、42号、44号、46号、47号、48号及び第49号の各議案と、請願第68号、70号及び71号に対する所管常任委員会の審査結果に反対し、私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。
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